家族信託の『30年ルール』とは!?

認知症による資産凍結対策として注目を浴びている「家族信託」。

最近は一般マスコミでも取り上げられることが多くなりました。

実際、以前だとセミナー等での当方からの情報提供によりご興味をいだいて頂いていたのが、最近ではお客様の方から「家族信託を組成してほしい」と問合せ頂くケースが増えてきました。

受益者連続型信託

お父様の認知症による資産凍結対策として、お子様との家族信託を組成する場合、「当初受益者=お父様」「第二受益者=お母様」として、ご提案させて抱くことが多いです。

女性のほうが平均寿命が長い為、お父様が亡くなられた後もお母様がご存命の確率は高く、かつ、更に高齢となって認知症リスクへの懸念があることから、こうすることでお父様のみならずお母様の生活を支える対策として、機能させるわけです(尚、お父様のご存命中については、お父様ご自身にお母様の扶養義務がありますので、お父様の信託財産をお母様の為に使うこと自体問題ありません)。

このように、受益者が死亡した後、次の受益者を ”連続して” 設定しておく信託のことを、「受益者連続型信託」と言います。

家族信託の『30年ルール』

では、家族信託はお父様が亡くなったらお母様、その次は子、さらにその次は孫、・・・・・と、永遠に続くのでしょうか。

信託法では次のとおり期限を定めており、一般に「30年ルール」と呼ばれています。

【信託法第91条(受益者の死亡により他の者が新たに受益権を取得する旨の定めのある信託の特例)】

受益者の死亡により、当該受益者の有する受益権が消滅し、他の者が新たな受益権を取得する旨の定め(受益者の死亡により順次他の者が受益権を取得する旨の定めを含む。)のある信託は、当該信託がされた時から30年を経過した時以後に現に存する受益者が当該定めにより受益権を取得した場合であって当該受益者が死亡するまで又は当該受益権が消滅するまでの間、その効力を有する。

30年ルールの注意点

よく誤解されているのが、30年経過したら自動的に契約が終了する、というものです。

上記条文をよく読めば分かるとおり、

信託契約の効力発生日から30年を経過した後は、受益者の交代は一度きりというのが “30年ルール”です。

例えば、お父様→お母様→長女、という受益者連続型信託の場合、
(30年経過前にお父様が死亡し、第2受益者となった)「お母様」が、30年経過後に死亡しても信託契約はそこで終了せず、さらに「長女」が受益者になります。そして、「長女」が死亡した時点で、 “30年ルール”が適用され、信託契約が終了となります。
信託終了時における残余財産の帰属権利者を「孫」に指定しておけば、祖父~孫への資産承継の流れが実現できることになります。

家族信託に関しては、比較的歴史の浅い手法であるが故に、誤解をしている方が少なくありません。信託に精通し、経験豊富な専門家にご相談することをおすすめします。

千葉市美浜区 行政書士キズナ法務事務所《絆コンサルティング》