相続人がいない…。どうなるの?

近年、亡くなった方の財産を継ぐ相続人がいない「相続人不存在」のケースが増加しています。
令和5年度には、このため国庫に帰属した金額が1,000億円を超えたとの報告もあります。
不動産が管理されないまま放置されることもあり、空き家問題やご近所トラブルにつながる事例も増えています。

『相続人不存在』とは

大きく分けて以下の2種類のケースがあります。

①法定相続人が存在しない

亡くなった方に、配偶者と子、直系尊属、兄弟姉妹いずれも存在しない場合、相続人不存在となります。
例えば、未婚かつ子供がおらず、両親・兄弟姉妹がそもそもいないか既に亡くなっている場合などです。

②相続人全員が相続放棄をしてしまった
法律上の相続放棄とは、家庭裁判所へ申出の手続を行います

(単純に「遺産がいらいない」という意思表示を放棄と勘違いしていらっしゃる方も多いのですが、これはいうなれば遺産分割協議上の辞退に該当し、法定相続人の立場を失うものではありません。)
相続放棄は、故人が多額の借金を抱えていた場合などに、選択されることがあります。

相続

相続人不存在の財産の行方

相続人がいない場合、遺産の行方はどうなるのでしょうか。

最終的には国庫に帰属することとなります。
遺産の処理は、利害関係人または検察官の申し立てにより、家庭裁判所が「相続財産清算人」を選任することで行われますが、その過程で特別縁故者(被相続人と特別な関係があった人)に該当すれば、財産分与の可能性があります。

例えば、独居の方の面倒を見ていた従兄弟やその子(この場合、法定相続人になりえません。)などは特別縁故者として遺産を受け取れる場合もあります。

こうした事態を避けるために

ただ、特別縁故者になるにも手続や審査が必要となります。

遺言書を作成することで、財産を譲りたい人を指定することが有効でしょう。

おのずと権利者になれる法定相続人がいない以上、安全・確実に遺産を継承してもらうためには、専門家に相談の上、公正証書遺言にしておくと、尚よいと思われます。


千葉市美浜区行政書士キズナ法務事務所《絆コンサルティング》