亡くなった親の不動産、どうやって調べる⁉
相続登記の義務化がスタートして1年弱が経過しましたが(怠ると10万円以下の過料対象)、だいぶ浸透してきているように思います。
一方で、「亡くなった親が自宅の他にも不動産を持っていたようだが、よく分からない。」弊事務所にお問い合わせ頂く方の中にも、このようなお悩みをお持ちの方が一定数いらっしゃいます。
従来、生命保険や株式・投資信託等については、一括して調査する手段がありましたが、不動産に関しては整備が遅れていました(同様のものとして、銀行預金があります)。
今回は、今後新設される(2026年2月より施行予定)『所有不動産記録証明制度』に関するお話しです。
これまでの不動産の調査方法
従来、被相続人の所有不動産を把握する方法としては、主に以下の2つの方法がありました。
① 名寄帳の閲覧・取得(市町村資産税課が把握している、課税台帳に記載の不動産を照会)
② 権利証(又は登記識別情報通知)」で確認
ただ、どちらも調査をする上では限界がありました。
名寄帳はそれぞれの市町村で作成されているため、複数の市町村にまたがっての調査は不可能で、少なくともどこの市町村で所有していたか分からなければ、調査自体ができませんでした。実際に、旧家などでは、複数の土地が各地に点在していることもあり、把握が困難で相続登記に漏れが発生する事例がありました。
権利証に関しても、きちんと保管されていればよいですが、弊事務所のお客様でも「紛失してしまった」という方は少なくありません。結果として、把握に漏れが生じる可能性があります。
所有不動産記録証明制度とは
『所有不動産記録証明制度』とは、被相続人が所有していた所在不明の不動産を、全国的に調査し、証明する制度です。
相続人が法務大臣の指定する法務局に一定の手数料を納付すると、被相続人のすべての所有不動産に関する登記情報のリストが「所有不動産記録証明書」として発行されます。
この制度を活用すれば、一部の不動産について相続登記が漏れていたという事態を防ぐことが可能です。
もっとも、この制度も万能ではなく、所有者の住所と氏名が一致していないと一覧表に反映されないという弱点があります。
(但し、2026年4月より住所や氏名の変更登記も義務化されますので、不一致のケースは徐々に減っていくと思われます。)
亡くなった親の所有不動産が分からないと言う方が漏れを防ぐには、念の為複数の調査方法を熟知している専門家に相談してみるとよいでしょう。
千葉市美浜区 行政書士キズナ法務事務所《絆コンサルティング》