「家族信託」と税金対策について
年老いた親御さんの資産を守るため、昨今注目を集めている「家族信託」ですが、アパートやマンション等資産をお持ちの方の中には、相続税対策も併せて考えている方も多いのではないでしょうか。
今回は、家族信託と相続税対策についてのお話しです。
家族信託そのものに節税効果ありません
誠に残念ながら、「家族信託」はあくまでも認知症等で意思能力を喪失した方の財産を管理・運用・保全等するための「手段」であり、それ自体に節税効果はありません。
税金は原則的にはあくまでも実態に応じて課税されるからです。
家族信託は相続税対策のための「手段」
相続税対策をする上で「家族信託」は全く無意味なのでしょうか。
確かに家族信託そのものに節税効果はありませんが、相続税対策を実施するためには必要と言えます。
例えば、典型的な手法として、金融資産を不動産に変えるという場合を考えてみましょう。
土地の相続税評価額の基となる路線価は実勢価格の約80%、建物のそれである固定資産税評価額は約50%程度と言われていますので、金融資産のまま保有するよりも一般に節税になると言われています。
しかし、年老いた親御さんが認知症等で意思判断能力を喪失してしまうと、当然不動産の売買契約をすることはできず、上記のような資産の組み替えをすることができなくなります。
ここで、家族信託が必要となります。
老親が元気なうちに、保有財産の管理や処分の権限を信頼できる家族に任せ、万一、認知症や大病などで判断能力が低下しても、確実に相続税対策が実行できるようになるわけです。
近年、「家族信託」はマスコミ等でも取り上げられ、弊事務所へのご相談も急増しています。ただ、「家族信託」の効果的な活用には入念なコンサルティングが必要であることも事実です。「家族信託」に精通した専門家へのご相談をおすすめします。
千葉市美浜区 行政書士キズナ法務事務所《絆コンサルティング》