マンションの相続税評価額が高く!?

タワマン節税とは・・・

「タワマン節税」という言葉をご存じでしょうか?

そもそも不動産は現金に比べると相続税評価額が低く設定されています(土地が時価の80%程度、建物は50%程度)。これは相場により価格が上下動するものですので、当然の措置とも思えますが、一方で節税対策の一つとされてきたのも事実です。

特にマンションに関しては、建物比率が高いということもあり、土地や戸建に比べますと実勢価格に対しより低い評価となることが従来より指摘されていました。昨今供給量が増えたタワーマンションですと、土地持分が少ないためより顕著な傾向が出ることも指摘されています。

この点に着目したのが、いわゆる「タワマン(タワーマンション)節税」というものです。

富裕層の間では実勢価格と評価額の乖離に着目し、市場価格が高くなりやすいタワーマンションの高層階の部屋を複数購入する例が少なくありません。相続税の課税評価の際に額面で計算される現預金をマンションに換えておくことで評価額を引き下げられ、節税につながるからです。

マンションの相続税評価額が高く!?

国税庁は今年6月末、マンションの相続税に関する新たな算定ルール案を公表しました。2024年1月から導入する可能性が高い見込みです。

国税庁が新ルールの導入に動くのは、上記のようなマンションを利用した相続税の過度な節税が目立つからです。

国税庁の調査によると、マンションの実勢価格を相続税評価額で割った乖離(かいり)率はほぼ右肩上がりで、18年の全国平均値で2.34倍に達すると言われています。

新たなルール案の概要

マンションの評価額は現在、一般的な戸建と同様に、路線価に基づいて土地持分を評価し、建物の固定資産税評価額と合計して算出します。

新たなルール案では国税庁が示した計算式で乖離率をまず求め、乖離率が約1.67倍以上なら現在のルールに基づく評価額に乖離率を掛け、その6割を新たな評価額とします。乖離率は、マンションの築年数、部屋の所在する階などに、国税庁が統計上の根拠があるとする一定の係数を掛けて算出します。

例えば、乖離率を計算した結果、上記の全国平均値と同様の2.34倍になったとすると、評価額はその6割である1.4倍に上がってしまいます

東京都内の好立地の物件では評価額が倍増するマンションもあるようです。

戸建の評価にも影響が・・・

国税庁が戸建ての乖離率を調べたところ18年の平均値は1.66倍で、2倍以上の物件は約25%あったようです。

今回の新ルール案で戸建ては対象外ですが、マンションの評価を見直す以上、戸建ての評価についても税務当局の姿勢が今より厳しくなる可能性は否定できません。

相続の専門家にご相談を

このように、相続を巡る環境は日々刻々変化しています。一方、一般の方が全てを把握するのは容易ではありません。

相続の専門家にご相談することをお薦めします。

千葉市美浜区 行政書士キズナ法務事務所《絆コンサルティング》