良い制度の家族信託がなぜ普及しないのか?

「家族信託はどうしてこんないい制度なのに、普及していないのですか?」というご質問をお客様から投げかけられるケースは少なくありません。
そもそも「家族信託」を知らない方が多いのはもちろんですが、今回はその理由についてのお話です。

①専門家が少なく、提案される機会がない

家族信託に関するご相談にのれる専門家は、残念ながらまだまだ少ない、というのが現状です。

「頼める人にたどり着けない。」これが家族信託の、しいて言うなら唯一の弱点と言えるでしょう。

認知症による資産凍結対策の必要性がクローズアップされる中、このような現状では、一般の方がなかなか実行に移すことができないと言えます。

②税務上のメリットがないので興味をもつ方が少ない

弊事務所に相談に来られる方は、「節税対策」を動機とされる方がほとんどです。

一方「家族信託」はあくまで資産凍結対策であって、相続発生時に税務的なメリットが生じる訳ではありません。

大半の方が興味をもつ節税の為のものではない、と言うのも理由の一つではないかと考えられます。

③対策を取ろうと思った時には手遅れになっている

子供世代が、親の衰えを契機に、慌てて対策に乗り出すケースは少なくありません。

たとえば、預金通帳や郵便物の管理ができず何度も紛失するようになった、足腰が弱り外出がままならなくなってきた・・・といった親の異変に気付いたことをきっかけに、ご相談を受けることも多いです。

ただ、残念なことに、親の判断能力が著しく低下してしまい、何の対策もできなかったケースがあるのも事実です。生前対策はよく「夏休みの宿題」に例えられます。困らないと動かない、は人間の性なのかもしれません。


最後に・・・

弊事務所がボランティアでのセミナー活動を行っているのも、時を逸してお困りになる方が一人でも減れば、という思いからのことでもあります。

大切なことは、老親が元気なうちに、財産管理・生活サポートについて、さらにはその先の資産承継について、家族会議を開いて、専門家を交えて家族内でしっかりと検討することです。

『思い立ったが吉日』とも申します。「家族会議」を開いて、親の老後について向き合う作業をすることをお薦めします。

千葉市美浜区 行政書士キズナ法務事務所《絆コンサルティング》